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2024年・札幌で花火の音がする夜――知っておきたい大会ガイド完全版

By Michael King |

2024年・札幌で花火の音がする夜――知っておきたい大会完全ガイド

2024年 札幌の夜空を彩る花火大会

夏の夜、窓の外から突然聞こえてくる「ドン」という低い響き。あの音が耳に届いた瞬間、札幌市民なら誰もが空を見上げずにはいられない。2024年も、北海道最大の都市・札幌では複数の花火大会が夏から秋にかけて次々と開催され、夜空を多彩な光で塗り替えた。規模も演出も会場も、それぞれまったく異なる。どこで鳴っているのか、いつ行けばいいのか――そんな疑問を持った人のために、2024年の「札幌で花火の音がする」夜を徹底的にひも解く。

なぜ札幌の花火はここまで多彩なのか

本州の花火大会とは少し違う空気感がある。北海道の夏は短い。7月から9月というわずか3か月に、人々は驚くほどのエネルギーを注ぎ込む。花火もその象徴だ。広大な土地と、澄んだ夜空。打ち上げ場所によっては山あいのロケーションを活かした立体的な演出も可能で、平野だけでなく丘や湖畔、スタジアムの中まで会場になる。

また、札幌市内だけでなく、真駒内・モエレ沼・ばんけいスキー場・滝野すずらん丘陵公園など、市内各地に個性的な会場が点在している。近年は音楽とシンクロした「ミュージック花火」が主流になりつつあり、耳でも楽しむスタイルに進化している。花火の「音」が日常の中に溶け込む形で、2024年も札幌の夜はにぎわった。

2024年・札幌の花火大会カレンダー概要

2024年夏の札幌エリアにおける主要な花火大会は、7月下旬から9月中旬にかけて集中した。代表的な催しを簡潔に整理しておこう。

大会名 開催日程 会場
道新・UHB花火大会 2024年7月26日(金) 豊平川河川敷
ばんけい夏まつり大花火(BMF) 2024年8月3日(土) さっぽろばんけいスキー場
スカイアートナイトサッポロ 2024年8月24日(土) さっぽろばんけいスキー場
北海道芸術花火2024 2024年9月7日(土) モエレ沼公園
道新・秋華火(HBA Special Night) 2024年9月15日(日) 札幌ドームオープンアリーナ

夏の始まりから秋口まで、札幌のどこかで必ず花火の音がする。それが2024年の実情だった。

道新・UHB花火大会――市民に愛される無料の定番

豊平川河川敷の花火大会

7月下旬の金曜夜、豊平川河川敷から花火の音が響くのは、もはや札幌の夏の合図だ。「道新・UHB花火大会」は、2010年に札幌・豊平川で行われる唯一の花火大会となってから継続して開催されており、約196万人が住む札幌の街の中心部にて無料で見られる花火大会として唯一無二の存在だ。

2024年は7月26日(金)19時40分に打ち上げ開始し、約50分間にわたって約4,000発の花火が豊平川の南大橋から幌平橋間の上空を彩った。荒天の場合は8月2日(金)に延期という形で実施された。無料でこれだけの規模を楽しめるのは、全国的に見ても珍しい。地下鉄を使って気軽にアクセスできるという点も、長年市民から支持される理由のひとつだろう。

ワイドスターマインやスターマイン、打ち上げ花火が次々と夜空に広がり、川面に反射する光も鑑賞ポイントになる。観客はびっしりと両岸の河川敷を埋め尽くし、遠くのマンションのベランダからも見物する人たちの姿が確認できる。それが豊平川の夏の光景だ。

ばんけいスキー場の花火――山あいに響く重低音

ばんけいスキー場の夏の花火大会

市街地から少し離れた山あいにあるばんけいスキー場は、夏になると花火の聖地に変わる。2024年は同会場で2回、それぞれ異なる性格の花火イベントが開催された。

まず8月3日の「ばんけいミュージックフェスティバル(BMF)」。豪華アーティストによる音楽ステージとともに、花火の打ち上げは19時45分から行われ、約7,500発の花火が夜空を彩った。昼間から縁日の屋台やキッチンカーが並び、夕方には音楽ライブが盛り上がり、フィナーレに花火がどっと打ち上がるという流れで、1日かけて楽しめるイベントとして定着している。

続いて8月24日の「スカイアートナイトサッポロ(SKY ART NIGHT SAPPORO)」。約7,000発の花火が音楽と連動して打ち上げられ、ドローンショーやムービングライト、空飛ぶランタンが幻想的な光景を演出した。山に囲まれた地形が音を反射させるため、花火の炸裂音が腹の底まで響いてくる。これは都市部の河川敷では体験できない感覚だ。

心地のいい音楽と鮮やかな花火が調和する幻想的な空間が楽しめ、家族、友人、恋人など大切な人と一緒に2024年の夏の思い出を作る場として広く親しまれた。

真駒内花火大会――道内最大規模の圧倒的なスケール

真駒内花火大会の壮大な演出

「花火の音が身体で体感できる」――そう表現されるのが、真駒内花火大会だ。北海道札幌市南区で開催されるこの大会は、花火、音楽、照明、炎をミックスした演出とともに打ち上げられ、道内最大級の2万2,000発という規模を誇る。

世界各地の音楽花火コンクールで活躍する「日本橋丸玉屋」と、全国の花火競技会で内閣総理大臣賞を何度も受賞している「紅屋青木煙火店」が打ち上げを担当し、真駒内花火大会でしか見られない光のアートが展開された。これだけの実績を持つ花火師が一堂に会す大会は、全国的にも数少ない。

スターマインが短時間に連続して打ち上がる場面では、音の圧力が体にのしかかってくるような感覚さえある。その重低音は、会場から数キロ離れた住宅街にも届く。「どこかで花火をやっているな」と気づいて検索する人が毎年急増するのも、この大会の規模あってのことだ。

北海道芸術花火2024――イサム・ノグチの公園と芸術の融合

9月7日、モエレ沼公園で行われた「北海道芸術花火2024」は、純粋に花火を「芸術作品」として見せることにこだわった異色のイベントだ。モエレ沼公園はイサム・ノグチが設計した公園で、美しい自然とアートが融合した場所。広大な公園の奥行きや「大地の彫刻」とも言われる起伏を活かし、ほかの花火大会では見られない立体的な3D展開が楽しめる。

2024年9月7日(土)の開演は19時15分から20時15分まで、雨天決行・荒天の場合中止という形で、モエレ沼公園にて開催された。国内最高峰の花火師たちが手がけるノンストップの芸術花火プログラムは、まるで感情の起伏ある映画を観るような体験だという声が多い。芸術花火の世界では、音楽との同期が秒単位で緻密に組まれており、曲の盛り上がりと花火の展開が完全に一致したとき、観客のどよめきが公園全体を包む。

道新・秋華火――2024年初開催のスタジアム花火

札幌ドームオープンアリーナでの秋華火

9月15日は、少し違う形の花火が札幌の夜を彩った。「HBA Special Night 道新・秋華火」が2024年初開催となり、1万8,000発もの花火が秋の夜空を彩った。超近距離から音楽とシンクロして打ち上がる花火は圧倒的なスケール感で、山梨県の花火メーカー「マルゴー」が北海道に初上陸し、スターマインなど夜空に多彩な光の花を咲かせた。

会場は札幌ドームオープンアリーナ(札幌市豊平区羊ヶ丘1)で、全国の花火競技会で受賞歴を持つ花火師が音楽とシンクロした1万8,000発の花火を打ち上げた。スタジアムという閉じた空間で打ち上がる花火は、音の響き方がまるで別次元だ。観客席を囲む構造が音を集め、炸裂音と衝撃波が体全体を震わせる。初開催ながら大きな注目を集め、次回以降の継続開催への期待も高まった。

花火の音が聞こえたら――近隣住民へのマナーも大切に

花火大会の当日、会場周辺には大勢の観客が集まる。会場周辺へのごみのポイ捨てや近隣住民への迷惑行為は禁止されており、警察官・警備員の指示に従うことが求められる。これは主催者側からの公式な呼びかけであり、祭りを長続きさせるためにも欠かせないマナーだ。

地下鉄の混雑は毎年相当なものになる。豊平川の花火では終了後、複数の駅が入場規制になることもある。早めに会場に到着し、帰りは時間をずらすか歩いて移動するルートを事前に確認しておくと快適だ。有料の大会はチケットが早期完売になることも多く、発売開始日に即座に動く必要がある。

たきの花火――グルメとキャンプが融合する特別な体験

少し趣向を変えた花火体験を求めるなら、滝野すずらん丘陵公園の「たきの花火」は別格だ。北日本最大の国営公園の広大な土地をフィールドに毎年開催される有料の花火大会で、2024年は例年以上に花火打ち上げ前のコンテンツがパワーアップし、昼は10代を対象としたビギナーズダンスコンテストやキッズDJ、誰でもDJ体験が楽しめるDJスクールなど観客参加型のコンテンツが行われた。

「グレートスカイアート」と呼ばれる花火演出では、滞空時間や残存光まで計算に入れ、30分の1秒単位でコンピューター制御するという徹底ぶりで、音楽のリズムやメロディーに合わせた演出が楽しめる。さらに、夜には広大な大自然の中で音楽にシンクロした花火が打ち上がり、花火のあとはそのままキャンプを楽しむこともできる。花火を見ながらテント泊する、という体験はなかなか他の都市では難しい。

2024年の札幌花火シーンが教えてくれること

2024年の一連の花火大会を振り返ると、ひとつの傾向が浮かぶ。「音」への意識が明らかに高まっている。かつては視覚的な美しさが主役だったが、今は音楽とのシンクロ、腹に響く炸裂音、さらにはスタジアムの音響効果まで演出の一部として設計されている。

花火師の技術も進化している。コンピューター制御による精密なタイミング、ドローンとの同時演出、レーザー光線との組み合わせ。それでも、夜空にドンと響く花火の音そのものは何十年も変わっていない。その原始的な衝撃が、都市の生活の中にいる人々の感覚を一瞬だけリセットする。それが花火の本質なのかもしれない。

豊平川の無料大会から、モエレ沼の芸術花火、真駒内の2万発超の轟音、スタジアムでの新感覚花火まで。2024年の札幌は、花火の音で夏と秋を丁寧に刻んだ。来年以降も、あの「ドン」という音が聞こえたら――ためらわずに空を見上げてほしい。